台湾原住民族の古調(古来からの伝承曲)の演奏を中心とする音楽活動を通じて、台湾原住民族の「自救、自立」運動に奉仕する「飛魚雲豹音楽工団」を日本にお招きし、大阪、北海道、沖縄などでのコンサートを企画しました。


近年、とりわけ台湾中部大地震以後、さまざまな社会問題が露わになる中で、原住民族による民族性復権、諸権利要求の運動は未曾有の高揚を見せはじめています。原住民部落に古来から伝わる音楽の再発見、再評価はこうした潮流の重要な一環でした。
 
台湾原住民族と日本の関わりには大変深いものがあります。かつての日本による台湾統治は「理蕃政策」と「同化−皇民化政策」に象徴される、原住民族に対する抑圧体制に他なりませんでした。今日に至っても、日本の一部では、かつての植民地支配を肯定するために「台湾」、特に原住民族は利用され続けました。
 
今からちょうど100年前の1903年、大阪の天王寺一帯で第5回内国勧業博覧会が開催されています。この博覧会は「日清戦争」に勝利し、初めての国外植民地=台湾を獲得した「帝国日本」の“国威発揚”を示す一大イベントでした。その会場には「アイヌ」「琉球人」などと共に「台湾生蛮」として台湾原住民族が“生きた見せ物”として「展示」されていました。それから約40年後、今度は「高砂義勇隊」として彼らを南方の激戦地に投入し、その命さえ奪ってきたのです。

原住民族の古調は、彼(彼女)たちの民族的尊厳と智慧を体現するものであると共に、かつての支配者であり、今なお彼(彼女)らの姿を恣意的に歪め、利用し続ける日本の国家と社会に向けられた台湾原住民族の痛苦に満ちた呻きと激しい抗議の声に他なりません。「100年」と「60年」の時を超えて、今こそ私たちはその声に耳を傾けるべきではないでしょうか。
飛魚雲豹音楽工団の音楽活動は台湾原住民運動と共にあり、今般の日本公演でもその収益はすべて原住民運動に還元されることになっています。